フィオ

フィオ「あら、ハルじゃない。」
ハル「うわっ！？フィオ様！？」
フィオ「ちょっと、どうして私を見て驚くのよ？傷つくじゃない。」
ハル「す、すみません……まさかこんな街中で出会うなんて思わなかったので、つい……」
フィオ「それは私も同じよ。どうしてハルがワイズバリーにいるの？」
フィオ「もしかして本当に絞首刑に？」
ハル「ち、違いますよ！ただの観光です！」
フィオ「あら、そうだったの。」
ハル「どうしてちょっとガッカリしてるんですか……」
フィオ「ふふふ。ところであなたの隣りにいるその子は？」
ハル「あ、この子はちょこです。」
ちょこ「うにゅ。」
フィオ「あなた、ハルのお友達？」
ちょこ「ちがう。どーきょにん。」
フィオ「へえ、同居人。ということは、ハルを手に入れたらあなたもセットでついてくるというわけね。」
ハル「そんな、人を商品みたいに言わないでください……」
フィオ「ところで観光って言っていたけれど、どこに行くつもりなの？」
フィオ「なんなら私が連れて行ってあげましょうか？」
ハル「ええっ！？そんな、王様に案内なんてさせられませんよ！」
フィオ「遠慮なんて不要よ。私とハルの仲じゃない。さあ、どこに行きたいの？」
ちょこ「じぇらーと。」
フィオ「じぇらーと？そんな観光地あったかしら？」
ハル「いえ…たぶん食べ物のジェラートのことだと思います。」
ハル「前に、ここで食べたジェラートのことをうっかり話したら、ちょこがどうしても食べたいと駄々をこねるので……」
ちょこ「うにゅ。ハルだけおいしい思い、ずるい。」
フィオ「あら、そういうことだったの。ということは、観光地巡りよりはグルメ探訪といったところかしら？」
ハル「あはは、そんなところです……」
フィオ「なるほどね。それならジェラートよりも美味しいお店があるわよ。」
フィオ「王族御用達のレストランなんてどうかしら？」
フィオ「ヒューマレルムでも屈指の三ツ星店よ？」
ちょこ「じゅるるるぐぎゅるるる。」
ハル「はうわっ！？よだれとお腹の音が混ざってすごいことになってる……」
フィオ「ふふふ。返事を聞くまでもなかったわね。」
フィオ「じゃあ行きましょうか♪」
ハル「あのー…ボクたちみたいな一般人が王族御用達のお店に行ってもいいんですか？」
フィオ「本来なら許されないわ。」
フィオ「そういうところで外交の密談を行うこともあるの。」
フィオ「だから盗聴とかを防ぐ意味でも外部の人間に知られてはいけないの。」
ハル「じゃあボクたちがそんな場所を知ってるってわかったら……」
フィオ「敵対勢力に拉致されて、情報を吐かせるために拷問されるかもね♪」
ハル「ご、拷問！？」
フィオ「あるいは情報漏えいを未然に防ぐために、ハルを絞首台に送ることになるかもしれないわね。」
ハル「どっちも嫌ですよ！！」
ちょこ「ハル、ふぁいと。」
ハル「何を頑張ればいいのさ！？」
フィオ「ふふ。やっぱりハルをからかうのって面白い♪」